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[5]ガウス記号などの新記号問題

「~を~で表す」という新記号問題の多くは、それを「何か計算できる方法で表す」のがキーポイントであり、これによって計算問題に持ち込めます。そうするとそんなにむずかしくなくなります。とはいえ、下に示すように重要な出題範囲であることには、驚かれるのではないでしょうか。
●ガウス記号問題のツボ
「x以下の最大の整数」を[x]と表すのは「ガウス記号」と呼ばれるもので、その簡単な問題は中学・高校入試でも出たことがあるかもしれません。ガウス記号に関しては、
   x-1<[x]≦x あるいは [x]≦x<[x]+1
という関係が成立し、ガウス記号問題はこれらの不等式を使って解きます。方法論がはっきりしているだけ、やさしい問題ともいえます。x-[x]を<x>や{x}と定義したものもガウス記号の亜種です。
[例題] 
以下の例題では、[ ]なしの関係でkの上限・下限の見当をつけて、その範囲内でのkを網羅してしまうのも一策でしょう。 次は[ ]の応用問題と[ ]から定義した{ }という記号の例題です。
 
もう1つの大事な事項はガウス記号と極限計算との関係についての例題です。


[入試問題]
ガウス記号問題は、早大/商で高頻度で出題されています。
[B]ガウス記号の1次方程式の問題(2014年早大/商13)

[B]ガウス記号の2次方程式の問題(2011年北大理系1)

[B]ガウス記号を使って約数の数を数える問題(2012年東工大22)

[C]ガウス記号と剰余類の問題(2009年早大/理工1)

[C]ガウス記号を使った数列の問題(2007年上智大/理工2)

[C]ガウス記号と区分求積法の問題(2000年阪大理系4)

[C]2n枚のカードからm枚のカードを選ぶ確率の問題(2015年東京医科歯科大1)
ガウス記号を使う確率の問題。

[D]ガウス記号を二重に使った関数の問題(2007年早大/商3)

[D]ガウス記号と三乗根の問題(2017年早大/商2)

 
■階乗に含まれる素数の数
知らなければまったくわからない、ガウス記号の応用の分野があります。それは次のような公式です。これは「ル・ジャンドルの定理」と呼ばれます。 
 
この右端の式から内容が想像できると思うのですが、まず簡単な例を示します。たとえば、

  • 10!=10×9×8×7×6×5×4×3×2×1=3,628,800

という大きな数にどんな素数がいくつ含まれているかを調べるには、どんどん割り算をしていきます。
この数を素因数分解していけば答えが得られますが、もっと大きな、たとえば100!のような大きな数になると、その方歩では大変時間がかかります。もっと簡単な方法を考えてみましょう。それは「nをpで割り続けてその商を足し合わせる」ということです。20!に含まれる素数「2の個数」を求めるために、20!ではなく20を2で割ってまず「2の個数」10を求め、次にその商をまた2で割ると、その商5は「4の個数」を示します。この2を加えることで、20に4が5個含まれていることを数えられます。20に含まれる3つ目の2は20を8で割った商を数え、20に含まれる4つ目の2は20を16で割った商を数えることで勘案できます。これが上の公式の意味です。下図が参考になるともいます。

この公式の使い方の例を示します。

[例題]
[B]階乗の中にある2の数を計算する入試問題(2008早大/教育11)

[B]末尾の0の数を数える問題

[入試問題]
[B]倍数の数を数える問題(2009年京大文系5)

[C]割り算にかかわる新記号問題(2017年昭和大/医231)

[D]整数にかかわる新記号問題(2008年東大理科5)